きんぴら通信。2012年1月号

  • 『昨年に続いてよろしくお願い致します』 by店長
    又一年があっと言う間に過ぎてしまった感じでいる。
    この正月はやり残すことなく清々した気持ちで迎えるつもりだったが、どっこいそういう訳には行かなかった。
    自宅外回りの片付けも農具小舎の片付けも、そして一番気の重い原因となっている食品衛生協会や衛生指導委員としての社会的仕事をこなせないでいた。
    春から忙しい農事が始まる前にこの社会的仕事を何とか3月までにはこなして清々とした気分で後に続く人に継がしたいと思っている。
    さて、新年に入ったからといってごはさんで願いましてというふうにリセットで来るはずもなく、気分的には全く違わないで走りだしているのが本音である。
    自然災害や原発の放射能汚染による人災に合われた方たちにとっては復興などということはまだまだ先の事のように思えてしょうがない。
    せめて前向きな気持に早くなれるようになってほしいと願うばかりだ。
    今年はそういった人達への支援金を集めることから少し離れ、電気を自家発電して買わない生活を作る方にお金を使ってみようと思っている。
    本来被害に遭われた人達の暮らしを立てなおしたり保証したりするのは政府や加害者である電力会社の責任である。
    社会的責任ということから離れて他人事のように対応している企業や行政の親方たちは本来身を粉にして事に当たらなければいけないのだが、そういうふうには全く見えてこないのはどういうことか。
    電力会社から電気を買わない市民が増えることが電力会社にとって一番こたえることではないのだろうかと思うし、自分たちの暮らしも豊かになるという点では的をえている気がする。
    ダム問題もリニアもETCも家電や車のエコ補助金など少しでもお金を使わせようとする企業と政府の企みでしか無い。
    八ッ場ダムなどはきっぱり中止のはずが、まともなお金の使い方とその後のデメリットを何も考えられない者たちによって今更やりますなどと簡単に裏返ってしまう始末だ。
    投票で示された国民世論はこんなにも軽いものだったのかと・・・選挙を馬鹿にするにもほどがある。

    「少しパンが変わったみたい、美味しくないね」と言われてしまうかもしれません。
    店のパンの材料として長い間使っていた北海道産パン用粉の入荷が止まり、昨年暮れの最後のパン作りから長野県産パン用粉一〇〇%に変わった。
    昨年の試作でなんとか行けると思っていたが、その日のパンは自分のイメージしているパンとは随分かけ離れたものとなってしまった。
    やはり暫くは配合をいじくってふらつくパン作りになるのかと心配している。
    もう25年間パン屋をしているのでこういうことはないと思っていたが、又初心に帰ってパン作りに向かうしかないようだ。
    叉苦労をするのなら、今まで以上に美味しくて安全で納得行く質のものにして行かなければならないと思っている。
    そんな訳でご迷惑をおかけしますが、必ず気に入ったものを見つけ出しますので、気に入らなくても時間をおいてたまに買ってみてください。
    本来なら納得いったものだけを製品化して販売するというのが本道なのだろうが、きんぴら工房はそういったゆとりと気持とお金がない。というより出来ないだろう。
    パン作りやお客様をおろそかにする気はないのだけれど、限られた変えることの出来ない材料を使ってのことなので、前のと違ってしまうのはしようがない事だし、まだまだ発展途上のパン屋だと開き直るしか無いのです。
    県内産にはハナマンテンという中華そば用の小麦がグルテンが強いという事で地元産パン用粉(ユメアサヒ)に加えて使われている。
    農園でも次期パン用粉として栽培を考えている。
    この春、目の前の課題を乗り越えるためにも、この秋の種まきにその品種を加え、自家製粉100%でのパン作りに、オリジナル乾麺も自家用小麦に変えていけたらと遠く先を見ているのです。
    そんな訳で又今年も変わらぬご愛顧をよろしくお願い致します。
  • 『自給率』 by葉
    新年あけましておめでとうございます。
    去年は散々な一年でしたね。
    当たり前が、当たり前じゃなかったということを、過去25年、今まで生きてきた中で一番痛感させられました。
    そんな中、世の中の当たり前の一つである食料自給率問題が実はデマである。
    と、聞き流せない流言をちょっと小耳に挟んだので、実際の所どうなのかを改めて洗い直してみることにしました。
    足りているのかいないのか?
    増えているのか減っているのか?
    そもそも自給率って一体どんな数字なのか?
    こういう時こそ本の出番。早速、地元の図書館へ向かい、めぼしい本を借りてきましたよ。
    えーと、何々……まず、そもそもの計算式が世界指標の生産額ベースじゃなく、日本独自のカロリーベース。
    これは、国民一人一日あたりの国産供給カロリーを、一人一日あたりの全供給カロリーで割るというものなんですが……。
    この公式だとあら不思議、輸入食料がゼロになったら国内自給率が百パーセントに早変わり!
    おう素晴らしい。
    食料危機が起きると同時に低自給率問題が一気に解決してしまったぞ。
    ……って、いやいや本当にそれでいいのか?
    思わず読み間違いかと思い計算式を見直してみたが、間違いなくそう書いてある。
    んな馬鹿な。
    他にも、分母である全供給の四分の一、廃棄食料を上乗せしたり。
    家庭菜園、自家消費、小規模農家は含まない。
    等々、ツッコミどころが満載過ぎて、全くアテになりゃしない。
    こりゃ駄目だ。
    困ったもんです農水省。良識的とはいかないまでも、最低限、常識的な仕事をしてくれないもんか。
    正攻法で計算すると、自給率は2007年66パー。
    加えて廃棄分等を節約すれば、十分とはいかないまでも腹八分は賄えそうです。
    何だ、つまりは風評被害か。
    そしたら無理に農業しなくても、何も問題ないんじゃん。
    とか多数の方は思うでしょう。
    逆に、自給率を上げるべく日夜邁進しているであろう少数農業従事者の方は、 TPPで大変な時に何て事を言うんだこいつは!とか頭にくるかもしれません。

    個人的には、国としての食料自給率はそれほど逼迫していないんじゃないかと思う。
    仮に食料危機が起き、輸入がストップされても、飢えて死人が出てくるような事態は起きないような気がする。
    ここいら辺の問題は最近言われる電力事情とおんなじ類いの臭いがします。
    効率的に分配すれば実は十分足りているのに、無駄をなくそうとしないから、行き渡らなくなっている。
    一部の利益を守るために、ひどく偏った情報をバラ撒く。これもそういう事なのだろう。
    ただ、それでも、だからといって自給率問題がまったく存在しないものだとは思えない。
    より切実な問題は個人の自給率、一人一人の農業従事率なのではないか。
    TPPで国内農家が潰れ、国全体の自給率が下がる。
    そういう面での話でなく、大切なのはもっと小さな生活じゃないか?
    本来、自分がやるべき仕事を、他人任せにしてないかどうか。
    自分の食べ物を自給出来るか、出来ないか。
    個人が農業を行える環境がきちんと整備されているか、どうか。
    それが一番肝心要な問題なんだと。
    少なくとも、今の自分はそう考えます。
    そもそも農業を商売として成り立たせる事自体に、結構な無理を感じてしまうんですよね。
    小規模で効率の悪い農家が潰れ、大規模で効率の良い農家だけが生き残ってもしようがない。
    基本的に商売というのは、他人の仕事を代わりに請け負う行為のはず。
    趣味娯楽、専門的な分野においては、まあ悪くないと思いますけど、生きていくのに不可欠な行為、そこは他人に任せちゃ駄目でしょう。
    トイレで用を足す際に、健康な人間が他人に尻を拭って貰うような、こっ恥ずかしい行為だと思います。
    人間一人分の食料は決して少なくないですけども、そんなに多くもないはずです。
    無理をしなくても大丈夫、家庭菜園規模で十分。
    効率主義の現代社会。基本的な部分ぐらい見知らぬ専門家に任せずに自分自身で自給する。
    昨年同様、今年もいつ何が起こってもおかしくありませんけども、僅かでもマシな方向に、責任を負って歩いていける年にしたいものです。
  • 「お知らせ」
    ★古本販売はじめました。
    チェコの絵本作家ミルコ・ハナークの『青い鳥』や、武井武雄、初山滋等挿絵装丁の『小川未明童話全集』等あります。
    基本的には、絵本、童話の類が多め。
    農業関係の古本を増やしていこうかと画策中。
    最近、店内の本棚を増設しました。

    〈今月の一冊〉 『老閑堂追憶記』 中村吉治 
    『――かくて ふるさと は死んだ』
    ・明治の末年。長野県朝日村平出に生をうけた筆者が記した、平凡な庶民の目から見た山国の暮らしの変遷。


    ★今月のきんぴらパン。
    冬季限定……『クススタルカ』

    今回紹介するのはクススタルカ。このコーナーには珍しく、割りと人気があるパンです。
    きんぴら工房では毎年11月頃にスイスの手作りチョコレートを仕入れ販売しています。
    が、一枚なんと700円。ベラボーに高いお値段なので、チョコ菓子パンへと加工して、価格を抑えようという作戦です。
    相も変わらず外見からも名前からも、どんなパンなのか正体不明の商品なので、売れ残ることもしばしば……もったいない!
    見かけたら是非買って下さい。
    ちなみに、クススタルカという名前。実はちゃんと由来があります。
    『クリスマスにたべるおかし』を一文字ずつ抜かして読んでみると……クススたるか。
    うーん、なんという無意味な暗号。
    え?クリスマスはもう過ぎた?
    …………次回のクリスマスにご期待ください。

    ★自家栽培の小麦粉を取り扱ってくれる方募集中。
    南部小麦、ライ麦、黒小麦、スペルト麦の全粒粉。最低3キロから対応可能。
    卸価格は定価の三割引です。
    詳しい内容はメールやFAX等でお問い合わせ下さい。
    メール:zouridaisuki@hotmail.co.jp
    FAX:0263-53-5494


    ★3月いっぱい森を利用する会会員募集してます。
    昨年11月より森作業が始まりました。薪ストーブや風呂沸かしの燃料を薪で行なっている人たちにぜひ参加していただけたらと思います。
    赤松や雑木の間伐作業によって荒れた林から森に変えていこうと活動しています。

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