きんぴら通信。2012年3月号

  • 『自由業って』 by店長
    近年は毎年のように秋口の収穫時期が終わると共に帯状疱疹や尿道結石や持病の前立腺の悪化現状を繰り返し、まともなというか軽快な冬を過ごしていない気がする。
    気なしに人様に迷惑や嫌な気分にさせてきてしまったお礼かとも思うが、何とかならないものだろうか。
    今年は特に冷え込みが厳しかったらしく、水道管破裂や諏訪湖も神渡が出来るなど店長の体調管理の意識の高さで軽く済んでいたのかもしれないなどと、まあ、相変わらずの前向き姿勢でこの話は終わらせておこう。
    昨年春より高まっていたバイクツーリングだが、この春先苗つくり作業の始まる前、なるべく忙しくならない時期を狙ってならと、3月4日に7日間を使って今まで行ったことのない北陸中国地方をまわってこようと計画していた。
    しかしながら長い冷え込みが続いてかぎっくり腰になってしまい、整骨院へ通い始めてはや2週間が過ぎてもなかなか良くなってこないでいる。
    この調子で寒い空気や雨雪を受けながらのバイクツーリングというのは身体の弱ってきている中年オヤジにはやはりきついのだろう。
    今回はもう少し体調を整えてからの出発にしようと先に見送ることにしたのだった。
    若いころのバイクツーリングは目的地に着くこととお好みのバイクに乗って遠くにいけることが目的の大部分だったが、いろんな経験を重ねてきた中年おじさんは随分と違う目的が出来てきた。
    今まで知り合った中で普段会えない友人知人や、パンや麦を購入してくれている遠くにいるお客さんに会う事など、長いこと描けないでいるスケッチややってみたい海釣り料理など、自由時間がもらえるのだからできるだけやってみようかと頭の中で思いつく事がどんどん出てくる。
    最近はネットであらゆる情報が簡単に手に入る。
    出かけた先や通り道で気になるスポットを予め調べて出発すると少ない時間を有効に使うことが出来るだろう。
    でも、便利すぎることは旅の面白さを少なくしてしまうことにもつながってしまうのだ。
    知らないから地元で出会った人に聞くという時間が持てる。
    知らない人とどれくらいコンタクトが取れてお世話になるかという事が、どれだけ楽しくなれるかという事と正比例している。
    アクシデントの多い事が自分の人生を楽しく面白くしている大切な部分であることは確かだという確信的な気持ちを持っている。
    調べて出かけるというのは間違いなく当たりが多いかもしれないが、旅の面白さから言うとつまらなくしてしまうという事につながるのは確かだ。
    とオイラは勝手に思っている。
    調べ過ぎは要注意。
    道の間違え大いに結構。
    遠回りも大いに結構。
    ここはどこ、私はダーレとまでとなると……少し困る。
    お金の持ちすぎも要注意である。
    最低限の予算でやりくりしていくことが面白さに拍車をかけるのだ。
    高校の時の隣の先生の夏休みの宿題は1000円でどれだけ遠くまで行って帰ってこれるかというものだった。羨ましかったなあ。
    ものの大きさもミリからミクロン、ナノの世界が主流というか物の重要な世界を占めている事が解ってきている。
    化粧品から工業製品宇宙の事までどれだけ小さな世界の事が判るか出来るかが鍵になっているようだ。
    お金もあればあるほど便利で良い物のような気になるが、実はどれだけ少ないお金で普通に暮らせるかの方が大切な気がしている。
    儲けることよりも使わないで済む事という訳だ。
    天気のいい日に山の斜面に座って30分もボーとしていることが出来る身であることがなんと豊かな生活をしているだろうかと・・・・畑で柿の木の下に収穫箱を置いて日陰で休んでいる時にも同じような気持ちになる。
    日中の暑い時間に畑の土に膝をついて雑草を取っていても、自分で好きでやっている事だから気持ちの面ではあまり苦痛ではない。
    立ち上がるのも座るのも自分が勝手に決めてやっていられる自由さというのは勤めに行っているのでは味わえないのだ。
    昔職業欄に自由業と書かれているのを見て、そんな職業あるわけないと不思議に思ったが、今自分がやっているこれこそが自由業なのかと理解している。
  • 『雨と無知』 by葉
    今日は朝から雨が降っている。
    灰色がかった鈍い曇天。
    ぼんやり霞んだ山の稜線。
    季節が変わって暖かくなれば、益々雨は増えるのだろう。
    ――被災地の瓦礫の処理が遅れている。
    最近、テレビやラジオ、新聞の紙面でそんな話題をよく耳にする。
    地元の稼働処理施設ではとても処理が追いつかない。
    このままではいつまでも復興が進まない。
    被災地の危機を救うため、関東地方や関西地域、全国各地で手分けして、広域処理を行おう!
    環境省が主体となって、そんな話がぶち上げられた。
    その名も「みんなの力でがれき処理」
    静岡県や川崎市、秋田、神奈川、青森県。
    現時点では八県市のみの参加だが、他の自治体にも積極的に参加を呼びかけ、今後、更に受け入れ先を増やしていこうという計画だ。
    同じ島に住む人間が傷つき困り果てているのに、自分一人だけ知らん顔して無事でいようとは思わない。
    低線量の放射能なら、少しぐらいは受け入れてやる。
    自らの身を顧みず、弱ったものに手を差し伸べる。
    一見すると、とても心が温まる感動的な話に聞こえる。
    だけどちょっと待って欲しい。
    確かにいつまでも処理が進まないことは問題だとは思うけど、だけど、それってそんなに急がなくっちゃいけないようなことなんだろうか?
    津波等の影響もあり、現在、被災地の住民は仕事につきたくても、職場が見つからないと聞く。
    だったら、多少時間をかけてでも、現地の瓦礫処理施設を増やして、地元にお金を落としたほうが将来的にはいいんじゃないのか?
    素人臭い考え方だが、そんな突っ込みを入れたくなる。
    実際、東北地方の自治体は自分達で瓦礫の処理をしたいと考え、政府に対して新たな施設を建造するよう求めたという。
    しかし現実には、地元住民達からの再三の要求にも関わらず、新たな施設は殆ど建設されていない。
    3・11。震災当日から約一年、過ぎているにも関わらずだ。
    一体何故か?
    答えは単純、環境省が「三年間は許可を出さない」と審査をするのを渋っているからだ。
    その理由は「瓦礫は放射能を含んでいるから慎重に審査しなければならない」だとかなんだとか。
    ……あれ?瓦礫中の放射線量は基準値以下じゃなかったっけか?
    低線量の瓦礫に限って自分のところで処理していけば、特に問題ないんじゃないの?
    そもそも慎重に審査するというなら、現在、高線量の瓦礫を処理しているであろう、稼動中の施設については止める必要ないのだろうか?
    …………実はですね、瓦礫の放射線量を正しく測る方法って、確立されてないんですよね。
    色々な素材、多種多様な固体がゴチャゴチャと混ざり合っていますから、平均的な汚染値は誰にも分からないはずなんです。
    知っていますか?
    去年の年末付近から福島の降下放射線量が急激に上昇していることを。
    10月、11月頃には10ベクレルまで下がった値が、12月中旬を境に平均100ベクレルを超えています。
    多い時には400ベクレル。
    一日100ベクレルだとしても、これだけで年間基準値である一ミリを超えます。
    原因は分かりません。
    現地の焼却施設から排出されているんじゃないかと、まことしやかに言われていますが、詳しい経緯は不明です。
    調査すらもされていません。
    大きな力を持った人々は、誰も問題にしないからです。
    テレビもラジオも新聞も、大手のメディアは知らんぷりして何も突っ込みをいれないけれど、汚染は未だに継続している。
    「がんばろう日本!」の旗振りの下で、弱い被災者の人権は未だ無視され続けている。
    何が、がんばろう日本だ。
    何が、復興を進めようだ。
    まさか福島を犠牲にして、自分達だけがんばろうとでもいうつもりなのか?
    被災地の為と口にしながら、地元住民の話を聞かない。
    自分の都合を振りかざし、一方的に話を進める。
    結局、全てが自己満足。
    金、金、金、金、金じゃないかよ。
    エコや、グローバル商法と同じ。
    つまるところは格好つけて、金儲けしたいだけじゃないかよ。
    自分の仕事に夢中になって、助ける相手の事なんか、まるで気にも留めちゃいない。
    被災者は貰いたいんじゃない、自分の意見を渡したいのだ。
    耳触りの良いネタを掲げて、経済活動を展開すればそれでいいと考えているのか。
    頑張れだとか復興だとか、風評被害だとか言うだけで、誰かが救えると思っているのか。
    ……正直、こんな事を言われても、戸惑ってしまう人もいるでしょう。
    自分にはボランティア活動をする余裕なんてない。
    汗水垂らして働いて、毎月少ない給料の中から、募金箱に紙幣を入れれば、文句を言われる筋合いはない。
    無視をしているつもりはない。
    直接的に助けなくても、間接的に助けている。
    素人である自分がしゃしゃり出るよりも、役目を担った専門家達に任せたほうが効率的だ。
    自分は自分の得意分野で、被災者の事を支援する。
    確かに。
    そういう協力の仕方だって十分アリだと思います。
    けど。
    それって、日本赤十字社は厚生労働省と官内庁の天下り先だって知ってて言っているんですよね?
    義援金の中から、社長が年収2500万円も搾取してる事、ちゃんと理解してるんですよね?
    自分の払ったお金の行方を責任持って把握してますか?
    他人を頼る事は悪くはない。
    だけど、あまりに身体を預け過ぎると、誰か一人が転んだ時に、全員残らず倒れてしまう。
    善意のドミノ倒し。
    一見感動的な行為も、たった一つの嘘や誤魔化しでガラリと姿を変えてしまう。
    瓦礫受け入れの反対意見をきかれた際に、どっかの都知事が「黙れと言えばいいんだ」とか、乱暴な事をのたまっていましたけど、残念ながら不愉快な勘違いとしか言えません。
    厚顔無恥にも程がある。
    もっと勉強して欲しい。
    それかさっさと辞めて下さい。
    あんな人間を尊敬しているどっかの市長もいますけど、やっぱりどこか胡散臭い。
    大阪都構想にしたって、つまるところは企業誘致。金を儲けるのが目的だし。
    完全無欠で万能な政治家なんて有り得ない。
    面倒くさい問題を他人任せにしているうちは、結局、何も変わらない。
    他人任せの義援活動に、責任なんか生まれない。
    顔の見えない金のやり取りじゃ、繋がりなんか生まれない。
    弱った個人を救うのは、本気になるのはいつも個人、ひとりひとりの責任感だ。
    今の自分の生活が、一体何に与しているのか、今一歩だけ踏み込もう。
    必要なのは見極める姿勢。
    長年続いてきた老舗。格式高い専門店でも、出された料理を丸呑みにしない。
    格好が悪くても構わないから、出題された問いかけを自分なりに咀嚼して、舌で味を確かめる。
    なんか不味いなと感じたら、素直に自分の家に帰って素人なりに料理を作る。
    これから先も福島と付き合い暮らしていこうとするなら、それは必要不可欠な手間だ。
    弱った他人を無視しない。
    自分自身を無視しない。
    そうしなければいつまでも、放射能の雨は止まない。
  • 「お知らせ」
    「お知らせ」
    ★味噌作り一緒にしませんか。
    2月5日(日)朝8時30〜味噌5キロから10キロ仕込みます。参加費用は実費となります。
    あと1名で締め切りとなります。

    ★古本販売はじめました。
    チェコの絵本作家ミルコ・ハナークの『青い鳥』や、武井武雄、初山滋等挿絵装丁の『小川未明童話全集』等あります。
    基本的には、絵本、童話の類が多め。
    農業関係の古本を増やしていこうかと画策中。
    最近、店内の本棚を増設しました。

    〈今月の一冊〉 『日本を変える「知」』 芹沢一也 
    『――混迷の時代を生き抜くための、新たな知の羅針盤』
    ・経済学、政治学、教育学、社会学、思想・哲学の俊英が、混沌とした社会の糸を解きほぐす!
    ……と、試み自体は凄い面白そうなんですが、ハッキリ言ってつまらなかった。
    でも、「ああ、こういう考え方をしてる人達が、今の日本を動かしてんだなー」と、理解するにはこれ以上無く役に立ちます。オススメです。


    ★今月のきんぴらパン。
    新顔パン……『くるくるこしょう』
    今回紹介するのは、くるくるこしょう。
    最近生まれた新作パンです。
    見た目は大きい「まいまいろーる」。
    生地も同じで、牛乳で練った柔らかタイプ。
    じゃあ一体何処が違うんだという話ですが、まいまいろーるがバターを塗って巻いているのに対し、くるくるこしょうはオリーブオイル。胡椒を加えて巻いてます。
    成形も少し違っていて、一度、縦に捻った後で渦巻状に巻いてます。
    そのまま食べてもいけますが、ハムやチーズと一緒に食べると、もっと美味しいかと思います。
    角食パンや、保育パンもいいけど、たまには違うパンを食べたい。でも、菓子パンっていう気分じゃないなー。
    そんなワガママな貴方におすすめ。



    ★きんぴら春のパン祭り。
    ・来たる3月24日(土)に、きんぴら工房店内で春の創作パン祭りを開催します。
    当日は店の裏山で、地元のアマチュアミュージシャン達による焚き火コンサートも開かれます。
    クッキー付きでチャージ300円。
    演奏時刻は午後一時〜三時半の予定。
    ひと足早い春一番を楽しみにどうぞお越し下さい。

    ※翌日25日(日)は月の最終日曜なので、営業はお休みとなります。買い逃さないよう、ご注意を。


    ★自家栽培の小麦粉を取り扱ってくれる方募集中。
    南部小麦、ライ麦、黒小麦、スペルト麦の全粒粉。最低仕入れ3キロから対応可能。
    卸価格は定価の三割引です。
    詳しい内容はメールやFAX等でお問い合わせ下さい。
    メール:zouridaisuki@hotmail.co.jp
    FAX:0263-53-5494

    ★3月いっぱい「森を利用する会」会員募集してます。
    昨年11月より森作業が始まりました。薪ストーブや風呂沸かしの燃料を薪で行なっている人たちにぜひ参加していただけたらと思います。
    赤松や雑木の間伐作業によって荒れた林から森に変えていこうと活動しています。

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