きんぴら通信。2013年5月号

  • 『選粒と差別と・・・』 by店長
    なかなか大豆の選粒作業が進んでいない。
    最近は精米の時に機械を横で動かしながら、ついでに選粒作業を進めるといったことが多い。
    4月に入り、自宅のソメイヨシノが花を開くと同時に、今年蒔く稲の種籾の選粒作業を始めた。 選粒作業をするのは病害虫に強いものだけを選び出して、病気もなく良い収穫に結びつけるためで、良い種を蒔くということは無農薬栽培をするなら絶対に必要な大切なことなのだ。
    自然界の中では、植物だろうと動物だろうと、生命力の弱いものは病気(微生物の餌)や他生物の食料となって自然界に戻っていく。
    地球に生命が誕生してからこの繰り返しで、生命同士がつながり合って進化してきたのだろう。
    この選粒作業というのは、そういった自然に習っての仕事だと思っている。
    ところが、人間世界では、これが当たり前のように出来ないことが多い。
    体の弱いものは、年々、高度化していく医療のお陰で、昔だったら亡くなる命も生きていくことが出来るようになってきた。
    生まれた時から身体に重い障害があっても、医療とお金や思いやりのおかげで生活し生きていくことが出来る。
    車椅子の人でも、他人の力をもらいながら登山を経験することもある時代となった。
    しかしながらおいらは自分の力で行けない人が、行くべき所ではないと自分は心のなかで差別する。
    新種のウィルス・病原菌・事故による怪我も、命はいつも生きていいものかどうかを大自然界から判断されている気がしている。
    多くの人は理性や感情があるので、自然に流れることが出来ない生き物らしい。
    自分はどうなのだろうか。
    普段考えない余計な事を、最近思いながら農事をこなしている。
    これは正しいとか悪いとかということではなく、自分の生き方や死に方をしっかり見つめることなのだろうと考えている。
    何れにしても、どんな人も生きていくことは大変なことに違いはないと思う。
  • 『転覆するヤジロベエ』 by葉
    「生活クラブの牛乳を使われているんですね」
    パンの売り子をしていると、そんな言葉をよく掛けられる。
    表示ラベルに書かれた原料。
    マスコバド黒糖や、ゲランドの塩といった、
    割とマイナーな材料と違って、生活クラブの牛乳は、広く認知されているようだ。
    上記の言葉を耳にする度、自分はそう感じ、理解してきた。
    生活クラブというブランド名。
    その象徴とも言える商品。
    パスチャライズド牛乳は、搾乳期間において遺伝子組み換え飼料を使わず、独自の放射能検査を行なっているのが特徴だ。
    恐らく、日本国内で、個人が購入できる中では、最も安心安全なミルク。
    原発事故の影響もあり、食に対する危機意識が高まっている昨今。
    安全性を売りにしている生活クラブの牛乳ならば、さぞかし、需要が増えたのだろうと、勝手に想像していたのだが……。
    なかなかどうして、どっこいしょ。
    あんまり、そうでもなかったらしい。
    4月22日、月曜日。
    日が暮れ沈んだ午後七時から、自宅付近の公民館で、生活クラブの会合があった。
    今回の議題、テーマとしては、松本地区のセンター建設。
    組合員の数を増やして、自分達の地元にも生活クラブの物流倉庫を用意しようということだった。
    組織率、利用率が低いため、ここら一帯のエリアブロックは、自前のセンターを持っていない。
    仕方がないので、隣家に間借り。
    山一つ越えた岡谷センター。
    諏訪ブロックの拠点を通じて、管理、配達してもらうことで、やりくりしている状況だそうだ。
    もちろん、これは不効率。
    不具が生じる問題なわけで……。
    高速料金だけ見ても、ひと月あたり5万5千円。
    一年間で66万、差額が発生してしまう計算。
    コース設計や管理の困難。
    倉庫スペースの空きの限界、などなど。
    のっぴきならない緊急課題が、溢れかえっているという図式。
    もちろん、このままではまずい。
    早く何とかしなければという、問題意識は早くからあった。
    遡ること13年前。2000年度に出資金を出し、土地の購入に踏み切ったという。
    センター予定地は、既に万全。
    しかし、そこからが動かなかった。
    塩尻、松本、豊科、山形、波田に、穂高に、三郷と、ブロック合計、全部で7支部。
    エリア全体の広さに対して、組合員の数が足りない。
    利用率が総じて低く、採算性が釣り合わない。
    上記の二つの理由によって、足踏み、目下計画倒れ。
    進むことも退くことも出来ず、ひたすら様子を伺っている。
    事態は更に悪い方向へ。
    土地は活用出来ずとも、持っているだけで金は飛んでいく。
    年間固定資産税。
    92万1700円が、毎年、ムダに浪費されていく。
    まずいよ。まずい。とってもまずい。
    新たに組合員になったけど……、本当にこのまま加入していて、いいんだろうかと不安になるほど、この状況は厳しいと思う。
    淀んだ事態の打開策。対応策としては一つのみ。
    あの手この手の勧誘活動。
    組合員の数を増やして、利用率を上げるしかない。
    知り合い、知人、ご近所さんに、片っ端から声をかけ、生活クラブの加入を勧める。
    新たに入った組合員にも、肉が良い、石鹸が良い、牛乳が良いと、おすすめの品を強く勧める。
    失礼だとは思うのだけれど、なんだかこれって宗教勧誘。
    ある意味、ネズミ講みたいだなと感じてしまった。
    無論、生活クラブを否定する気はない。
    そこらの不埒な健康グッズ。
    儲け主義の会社と違って、取り扱っている商品は、こだわり抜かれた、素晴らしいものだ。
    長年、積み重ねてきた取り組み。
    食を通じて社会に目を向け、世間全体のバランスをとる。
    それは間違いないことだろうし、確かに、確かなことだと思える。
    しかし……、だからこそ、真摯な態度。
    正しいと思う行為だからこそ、歯止めだったり、余裕だったり、いわゆる節度とされる自制を、大事にしなくちゃいけないと思う。
    生活クラブの組合員は、仲間意識がとても高い。
    とてもいい事だと思うけど、それは、同時に、新規参入のハードルが高いということでもある。
    友人を積極的に勧誘するということは、友人じゃないその他大勢に声かけしないということでもある。
    知り合い同士の太い繋がり。
    絆と呼ばれるパイプラインが、新たな若い組合員が、なかなか増えない理由なのかも。
    基本的に、人はヤジロベエ。
    右へゆらゆら、左へゆらゆら、様々な場所で帳尻を合わせ、バランスをとって日々を生きている。
    ただ、どれだけ背筋をシャンと伸ばして、個人単位で自立していても、根ざした地面がひっくり返れば、バランスなんてとりようがない。
    震災、原発、憲法改正。
    TPPやら、アベノミクスやら、
    地盤が激しく傾く昨今。
    『それは自分と関わりないから』
    『自分は中立、中庸なんで』
    と、社会全体に目を向けず、個人主義に走っていたんじゃ、知らない間に土砂崩れ。
    無投票選挙しているうちに、あれよあれよと、足をすくわれ、手遅れになってしまいかねません。
    本当に中立でいたいのならば、場面場面で、意見を変えて、色眼鏡だって掛けてみるべき。
    将来の社会不安に対して、ささやかながらも抵抗してみる。
    生活クラブに加入して、協力するのも、自立の一部。
    ちなみに、今回、参加した集い。
    塩尻支部の会合では、男が自分一人だけでした……。
    どうしてでしょうね?不可思議だなあ。
    偏ってますね。転覆しそうだ。
  • 「お知らせ」
    ★ファーマーズマーケット@UNU
    東京青山・国連大学前広場にて、パンの出張販売をしております。
    ――が。
    5月は農事やイベントに追われるため、まるまるひと月お休みとなります。

    ※東京、調布の『納々屋』さんには、通常通り配送します。
    お近くの方は、こちらでご購入下さいませ。


    ★グリーンファームで販売開始。
    長野県伊那の産直市場、『グリーンファーム』さんで、パンを販売させて頂けることになりました。
    今のところ週2回。
    水曜、土曜にお届け予定。
    売れ行きに合わせて、種類、数量を調整していく予定ですので、このパン欲しいという方々は、ご協力をお願いします。


    ★きんぴら農園ボランティアご案内。
    ○大豆の選粒作業
    ○苗作りと水やり作業
    ○薪作りとチップ作り
    ○5月中旬から夏野菜の種まき開始
    ○6月3日から3日間に田植え予定 その後2週間毎日朝晩田んぼをーキングします。
    お手伝いしたい方のメールでのご連絡をお待ちしております。
    作業の進み具合は店長農園ブログをご覧ください。
    メール zouridaisuki@hotmail.co.jp
    月・水・金・日曜の午前中作業が多いです。
    火・木は午後です。
    来られる場合は連絡をください。


    ★原木天日干し椎茸、販売開始。
    間伐作業の合間に作った、自家栽培の原木しいたけを、天日干しして販売します。
    使用している椎茸は、2013年、4月に収穫したもので、近所の商店街にある、『アイメジャー信州放射能ラボ』さんで、高品位Ge検査済み。
    キログラムあたり2.0ベクレル未満不検出の結果が出ております。
    一回あたりの検査料金は8000円。
    干し椎茸が、全部売れると、20000円。
    うーん、なんとも、お高いですね。
    うちみたいな弱小パン屋が、こんなことしてて良いのだろうか……?
    見かけたら、ひとつ協力どうぞ。


    ★これからどうなる私たちの暮らしお金食べ物
    「あべよしひろさん講演会」
    日時 5月18日(土) PM1時開場
    場所 松本勤労者福祉センター大会議室
    参加費 前売り500円当日800円
    きんぴら工房にチケットあります。


    ★原材料に使っている牛乳が生活クラブの低温殺菌に変わりました。
    牛乳はその牛が食べる飼料が何かということがとても大切です。
    出来れば外国産でなく、国産のものを選びたい。
    原発事故の放射能。
    農薬だけにとどまらず、最近は遺伝子組み換え作物という新たな問題もあり、牛乳に対する健康リスクが一層、高まってきたと感じております。
    生活クラブの安曇野低温殺菌牛乳は、搾乳期に遺伝子組み換え飼料を与えず、独自の放射能検査も行っているこだわりの一品。
    原乳の雑菌数もとても少なく、おすすめできる牛乳です。

    ★ネット販売のパンの値上げを致します。
    ホームページからの、通信販売価格を大幅に値上げ変更します。
    ただし、福島県、岩手県から注文された場合に限り、ネット上の3割引きで販売させて頂きます。

    ※もし、近隣にきんぴら工房のパンを扱っているお店があれば、そちらを通して予約されると、通常価格で送料もかからず、お得に買えるかと思います。

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